「写 真」は一期一会の宝もの 45



銀 閣 に 雪 が 降 る

 私が高校生だった頃、京都の公立高校は現住所によって自動的に通学校が決まる区域性を採用していました。

 当時京都御所近くに住んでいた私も銀閣寺周辺に住んでいた友人たちと同じ鴨沂高校に通っていました。 また大学も銀閣寺から遠くない所にありました。

 そんな関係で一人で、または友人達と銀閣寺やその周辺を散策する機会に度々巡り会いました。

 室町時代、南北朝を統一した3代将軍足利義満により花開いた北山文化を代表する金閣寺(舎利殿)の派手さに比べると、銀閣寺(慈照寺)は、わび・さびを特徴としていて、後々の日本文化に大きな影響をもたらすことになる、何とも落ち着いた東山文化の雰囲気を感じさせてくれます。

 その銀閣寺は、政治を嫌った8代将軍足利義政が、京の都を焦土と化してしまった応仁の乱や悪妻、日野富子の存在にもめげず道楽三昧を貫いてくれたお陰で造営されたものです。

 道楽こそが文化の源泉であることを教えてくれる私の好きな寺の一つです。

 訪れるたびに心が和む憩いの場所でしたが、雪化粧をした銀閣の寄棟造り屋根の全景を見たのはこの写真を撮影した数年前が初めてでした。

 その後しばらくは、全面改装のため拝観出来ませんでしたが、今では以前よりさらに美しくなった銀閣を見ることが可能になっています。

                                    栗原 眞純

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