フォトエッセイ 残像の記録 2



曼珠沙華の季節

 9月を代表する花の一つ、曼珠沙華と言えば、関西では奈良県明日香村、関東では埼玉県巾着田が有名です。秋の彼岸の頃、一斉に咲くので彼岸花とも呼ばれ、田畑のあぜ道などに群生する姿が良く見られます。田畑に多いのは、この花の持つ種々の有毒アルカロイドが田畑を荒らす害獣、害虫などを除去するために有効だったからだと言われています。

 曼珠沙華の持つアルカロイドの一つ、ガランタミンはアリセプトに次ぐアルツハイマー型認知症治療薬レミニールとして今年2011年3月に薬価収載された薬剤の主成分です。

 写真は、岐阜県海津市津屋川の土手に3キロにわたり群生している曼珠沙華名所の一つです。投網漁の名人が居られることでも有名です。

 曼珠沙華の鱗茎(球根)は、デンプン質が多く栄養価の高い物ですが、毒物(リコリン)が含まれていて年貢の対象外とされていたこともあって、室町時代以後飢饉や戦時用食料として栽培されました。リコリンは水溶性なのでよく洗えば食用になるのだそうです。

                        栗原 眞純

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