フォトエッセイ 残像の記録 4



我らの観音菩薩様

 四国六十六番目の札所、徳島県雲辺寺は四国山脈の山頂近く、下の写真のような深山幽谷の中にある霊場で、弘法大師が十六歳のとき、寺の造成地を求めて入山し、その深遠な霊山の趣きに心をうたれ建立したと言われます。

 境内の一角に優しいお顔をされた青銅の「観音菩薩」別名一言観音が居られます。同じ境内の少し低い所には観音様をお護りするかのように無数の石造羅漢像が置かれています。

 これらの羅漢像は、弘法大師が初めて中国を訪れた地、福建省の五百羅漢院の羅漢像を模して近年になって作られ、その数は既に五百を超えています。悟りを得ることも仏になることも出来なかった羅漢達がせめてもの償いに観音様をお護りしているかのように思えました。

 残念ながら観音様と羅漢像を同時にうまく配置して撮影することが出来なかったので両者を別々に撮影して画像を合成しました。最近は色調補正や画像合成などのレタッチ技術が格段に進歩して、写真専門誌を見てもプロ・アマ関係なく、掲載された写真にレタッチが全くなされていない写真はあまり見られなくなりました。
                        栗原 眞純

随筆集目次へ    

inserted by FC2 system