フォトエッセイ 残像の記録 8



早 暁 の び わ 湖

 自宅がびわ湖近くにあるので、写真は撮りたいけれどこれといって撮るあてもない、そんな時によく出かけるのは、やはり日本の知られざる地史・歴史を秘めているびわ湖周辺です。ここへ行くとたいてい何か収穫を得ることが出来ます。この日も夜中から目が覚めてしまったのでびわ湖西岸の湖西道路をゆっくり北上しました。

 びわ湖南北の中央あたり、国道161号線の西側に神話の初期に登場する神々の一柱、猿田彦を祭る白髭神社があり、道路を隔てた東側には高さ12mの湖中大鳥居があります。

 暗黒の中、少しずつ周囲が明るくなり、鳥居の姿が見えて来ました。早くもこぎ出した漁師さんの船も見えて来て、私の好きな「人が居る風景」を撮ることが出来ました。 このあと暫くすると丁度鳥居の中央から太陽が昇って来て美しい日の出を見ることが出来ます。

 下の写真は上の写真を撮る18分前に白髭神社から約10km北の地点で撮影した日の出の20分以上も前の湖面の輝きです。

 湖面がこのように輝く時刻には空ももっと明るくなっているのが普通です。今回のように空が暗い内から湖面が赤く映えているのは何故でしょうか?

 多分太陽から出た光が上空の雲に反射して湖面を照らす際に、よく晴れていたために太陽から雲へ、そして雲から湖面に到達するまでの散乱光が少なかったからに違いないと私なりに考えました。

                                                 栗原 眞純
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