フォトエッセイ 残像の記録 17

 世界恐慌を克服し、1931年に竣工した摩天楼の象徴であるエンパイアステートビルの遠景を、このビルの北方にあるロックフェラーセンターのGEビル屋上から撮ろうと考えてエレベーターに乗りました。うまい具合に乗客は私と、写真の女性の二人だけでした。

 よしこの人にモデルになって貰おうととっさに考えて、NY見物の話などをしながら、良い雰囲気になったところで、Can I take some pictures of you with The Empire at the Top? と囁いたところ、Sure. と言って笑ってくれました。ラッキー。

 当時はエレベーターが旧く、屋上まで数分かかったのが幸いでした。その結果がこのエンパイアステートビルと女性とのコラボレーション写真です。

 43年前、NYシティーを歩いた際、アサヒペンタックスSPにコダクロームフィルムを入れて撮影したものです。保存状態が悪くてカビが生えていたポジフィルムを15年前にニコンフィルムスキャナーでパソコンに取り込んでおいたものをフォトショップによるレタッチ作業でカビを消しました。

 下の写真も同じ日にマンハッタンを歩いていて見かけた光景です。

 ここから先は、いつもの無駄話です。1945年7月28日、濃霧の中でアメリカ空軍のB-25爆撃機がこのエンパイアステートビルの79階に激突してビル内に突入しました。

 コラボレーション   

 幸い燃料残量が少なく火災が発生しなかったので、死者はパイロットを含め僅か14名でした。それにしても2001年9月11日に旅客機突入でWTCビルが全壊したことを思うと昔の建造物が如何に頑丈に作られていたかに感心します。

 突っ込んだ爆撃機によって女性一人を乗せたエレベーターのケーブルが切断され、300m落下しましたが、先に落ちていたワイヤーがクッションになって奇跡的に助かり、史上最も高い所からエレベーターごと落ちて助かった人物としてギネスブックに掲載されたそうです。

PS:2001年にWTCビルが簡単に全壊したのに、1945年のエンパイアビルでは軽傷で済んだことに疑問を感じていた所、次のような記事を見つけました。 http://www.911myreport.info/sub1.html 

            栗原 眞純                        随筆集目次へ    

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