フォトエッセイ 残像の記録 20



紅 葉 の 中 で

 11月から12月にかけては京都の紅葉、黄葉が最も美しく映え、都路は押し寄せる観光客で一杯になります。

 私も毎年のように紅葉写真を撮りに出かけます。個性的な紅葉写真を撮る際に、最も効果的なのはやはり見事な紅葉の風景に埋没してしまわない美しいひとということになります。

 今回は知人のAさんにその役をお願いしました。Aさんはご自分でも写真撮影をされ、しかも最近では殆ど見かけなくなったフィルムカメラを使い、枚数を気にせず撮れるデジカメ撮影でなく、限られた撮影枚数で、じっくり待って撮影対象を選びながら一枚一枚に精魂を込めて撮影する、そんな撮影スタイルを堅持されています。

 デジカメによる多数撮影に慣れてしまった私も一瞬一瞬を大切にして撮影していた昔を思い出し、教えられるところが多々ありました。

 さて、今回の写真ですが、地味な服装のAさんは豪華絢爛たる紅葉の中にあってもその風景に飲み込まれてしまうことなくひときわ目立つ存在感があって、紅葉撮影での主役を立派に演じて頂きました。

 下の写真は彼女自身の撮影光景と午後のお茶の時間に垣間見た携帯メールを微笑みながら見て居られる表情です、きっと何か良いことがあったのでしょう。


                                        栗原 眞純
 随筆集目次へ
                    

                                                 
    

inserted by FC2 system