フォトエッセイ 残像の記録 24

 松は常緑樹として冬も緑の葉を茂らせることから、不老長寿の象徴とされ日本の原風景を形成する大切な要素となっています。松の種類は世界に約100種あり、日本にはそのうちの8種類があります。

 近年松くい虫による松枯れの被害が全国的に広がっていると言われますが、実際は松枯れの原因は大気汚染による酸性雨→土壌の酸性化によるものなのだそうです。

 所謂松くい虫は土壌の酸性化により衰弱又は枯死した松を食しているに過ぎないというのです。各地で行われている農薬散布も松枯れに対しては殆ど効果が無いのみならず、これが更なる環境汚染を起こしている可能性もあります。

 いま日本の山林の土壌は、理想的な土壌のph.5.6〜6.5に対し、ph.3.8〜4.5という強酸性になってしまっているそうです。

 写真は江戸時代に100年余をかけて造成された高松市の栗林公園で撮影しました。園内にある1,400本の松のうち約1,000本は、職人が手を加えている「盆栽松」です。

 高松が、松盆栽では全国シェアの8割を占めているということは知りませんでしたが、なるほどと頷けるような見事な大松が沢山ありました。こいのぼりが公園に花を添えていました。

 松茸の話を少し。松茸の人工栽培は各地で研究されていますが、なかなか難しいようです。

 かつて京都はダントツ日本一の松茸生産地でした。1941年、京都府の松茸生産量は1万2千トンを超えていましたが、2011年京都の生産量は、わずか1.6トン、全国合わせても36トンだと言うことです。

       栗原 眞純            随筆集目次へ  

 日 本 の 松 
 

          

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