イタリアシチリア島南部にある都市、アグリジェントにあって、ユネスコ世界遺産でもある神殿の谷は紀元前581年頃にギリシャ人により、ギリシャの植民地として築かれました。 紀元前5世紀にはこの街は非常に繁栄し人口30万人を数えたと言われます。 写真は紀元前450年頃に造られたジュノーネ神殿です。地元の凝灰岩を利用して造られました。 古代建築に使われた凝灰岩は今では茶色っぽく見えますが、決して土で固めてあるのではありません。創建時は美しく色づけされて壮麗な風貌を誇っていたことでしょう。 紀元前480年カルタゴを破って大量の奴隷と戦利金を獲得したギリシャ人が、この壮大な神殿群を造ったと言います。 大昔は柱と柱の間をふさいで壁を作り、教会として使われました。この壁が建物補強の役割を果たし、主要部分は地震で倒壊することもなく、今の姿が見られるのです。 右の小さな写真もジュノーネ神殿を反対側からみたところと、この地区で保存状態が最も良いと言われている紀元前370年頃に建てられたコンコルディア神殿の夜景です。 どちらの神殿も、柱頭の形に特徴のあるドーリア式神殿です。アテネのパルテノン神殿もドーリア式神殿です。よく似ていますね。 残念ですが、今回をもって「残像の記録」連載を終了させていただくことになりました。長い間、多くの方々からご感想などをいただき嬉しく思いました。厚く御礼申しあげます。 栗原 眞純 随筆集目次へ |
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